地域の人々

【まとば園 × ダイリン】人が息づく、お茶の世界。

人が息づく、お茶の世界。

お茶の世界。そう聞いて、パッと思い浮かぶものはなんでしょう。
茶の湯のような背筋が伸びるもの、それとも日常の食卓でしょうか。
今号の特集では、毎年春と秋に開催しているダイリンの青空市でもおなじみ、狭山茶のまとば園にお邪魔しました。

代表の的場さんは、先代が本格的にお茶の製造を始めた年に生まれ、文字通りお茶とともに育ってきた生粋の茶師
お茶の栽培から製造、加工までを一貫して手がけるまとば園の「お茶の世界」とは。
少し覗いてみましょう。

▲およそ1.5ヘクタールにも及ぶ茶畑。気持ちのいい空間が広がります。
基本的には的場さんともう一人のスタッフ2名で現場をまわしているというから驚きです。
撮影時はちょうど八十八夜が過ぎ、二番茶の収穫へ向けた準備をしているところでした。

加工は、人間技の極み。唯一無二のお茶を。

 静岡等の大産地では、栽培・製造・加工それぞれの担い手が異なる場合がほとんどですが、まとば園ではそれらを一手に担っています。
とくに【加工】は、火入れによって味を左右する最も肝要な工程で、誰が担うかによって同じ狭山茶を銘打っていても味わいがまったく異なります。

「実はお茶には定義がありません。この条件を満たせば狭山茶です、というものがないんです。だからこそ加工は難しいし、人が出る。その瞬間、その瞬間で、唯一無二のお茶になるんです」と、的場さん。その眼差しには茶師としての誇りが滲んでいました。

▲荒茶に火入れを施し、香りを確かめる的場さん。イメージする茶葉に仕上がるまで、五感を研ぎ澄ませます。

五感でつくる。五感で味わう。

 まとば園では、依頼を受けてイメージ通りの茶葉に加工する取り組みも。ダイリンも数年前、的場さんとのやりとりを通じてオリジナルの茶葉を仕上げてもらった経緯があり、返礼品やきららカフェのメニューとして、今も多くの方にご愛飲いただいています。

多種多様な依頼に応える加工を施すために、どんな手順を踏むのでしょうか。
「まずはイメージを膨らませます。なんの加工も施していない荒茶の蒸し具合や水分量を確かめて、この状態ならこのくらいの火入れが必要かなと、仕上がりをイメージするんですね。そして4-5回は試飲します(的場さん)」。

経験としか言えない領域の熟練技で、依頼主が思い描く『』『香り』を作り上げていく。
的場さんのお茶の世界は、想像以上にクリエイティブなものでした。

▲まず荒茶の状態を確かめ、火入れを行っては試飲を繰り返す。
とても神秘的で繊細な作業。

人から人へ。バトンを渡すように。

「人の感じ方は、365日違います。夏にはさっぱりした味わいを求め、冬にはこっくりとしたものを欲します。新茶は新茶の時期に味わうのが最も美味しい。まとば園では、その時の身体に合った味わいを楽しんでほしいという思いから、一袋あたりのロットを少なく販売しています(的場さん)」。

的場さんが命を吹き込んだ茶葉が、私たちの元へ。そしてその時の状態によって、同じ茶葉でも感じ方がまるで変わる。各々の『お茶の世界』がまた深まっていく。

お茶には、人を介して世界をひらく力があることを教えていただきました。

POINT:まとば園流 美味しくお茶を淹れるコツ

取材中に出していただいたお茶がびっくりするほど美味しかったため、お茶を淹れるコツを尋ねると「みなさん大体お湯の温度が高いんですね。うちはポットを80度に設定しています。それくらいが一番茶葉の美味しさがわかると思います」とのこと。
まずはお手持ちの茶葉でお試しください!

農林水産大臣賞はじめ、たくさんの名誉ある賞を受賞されています。
店頭での販売も。

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代表 的場 利夫さん

高校の卒業式から1週間後には、茶問屋さんでの修行が決まっていたとか。18歳から25歳まで徹底的に茶の基礎を身体に染み込ませ、やがて家業を継ぐことに。「先代や修行先の社長によく言われていたのが、お茶は人から教わるもんじゃない。自分のお茶をつくるんだ、ということでした」

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information

味の狭山茶 まとば園
入間市大字南峯1033
04-2936-0724
matobaen.com