愛らしい黒猫のロゴマークが目印の「吉田さんち」。作業場や直売所の敷地内に向かう途中、片隅にある自動販売機にもその絵柄が描かれていて、お会いする前から心が和みました。
深谷ねぎ、ブロッコリー、とうもろこし、いちご。幅広い作物を手がける「吉田さんち」は、三兄弟それぞれが自身の得意分野を持ち寄り、さまざまなバックボーンを持つ従業員さんたちとともに、まるでひとつのチームのように畑を営んでいます。
人へのリスペクトがまず最初にあり、新しい挑戦も恐れないその姿勢には、なんだか農業の未来は明るいんじゃないか、と思わせてくれる力強さがありました。
畑の真ん中にあるのは、「人を大切にする農業」
吉田さんちの作業場を訪れた時、一番印象に残っているのは【ご自由にお使いください】と書かれた段ボールに入ったホッカイロ。
その光景を目にしたとき、吉田さんが「本当に、従業員さんが一番大事ですから」と真っ直ぐに語るその言葉を象徴するようで、こちらまでポカポカした気持ちになりました。機械でもなく、土地でもなく『人』。それが吉田さんちの経営の核にあります。
驚かされたのは柔軟な雇用形態。ダブルワークOKという採用方針から、吉田さんちで働く人はさまざまです。
「プロスノーボーダーはそろそろ雪山に帰りますね。シーズンオフの時期にうちを手伝ってくれているんです。ほんと、いろんな人がいますから。ちょっと話すだけでも面白いですよ」。
ここで働く人の人生を尊重する。そして、農家とは、農業とは、そんな既成概念に捉われず、何事も新しい在り方を模索する。
「細かいことを気にしないことが大事。失敗したら、また次に活かせばいいんです」と朗らかに笑う吉田さんの姿に、作物だけでなく人が育つ場所としての農業の実感しました。
三人三様、でも同じ方向を向く。
吉田さんちは、三兄弟を中心に営まれています。
・長男・孝さんは 人と現場をつなぐ天性の調整役。
・次男・拓哉さんはシステムエンジニアだった経験を活かし、過去10年分のデータから最適な出荷時期を導く分析のプロ。
・三男・将城さんは 鍼灸師として身につけた「身体を診る感覚」を活かしていちごを栽培しています。
まるで違う世界から集まった3つの人生が、畑の上でひとつに重なっている。それぞれが個性と強みを持ち寄り、農業を自分の得意分野へと引き込んでいるのが印象的でした。
兄弟は全員が同じ給料。同じ立場。年齢や立場に関係なく、喧嘩は滅多にないといいますが、何かを決める時は多数決だとか。
実際に取材していても「これはあいつの方が詳しいな」と、互いを尊敬し合い、率直に意見を言い合える関係であることが伝わってきました。
変化を恐れないことも、三兄弟の共通の価値観です。「とにかくいいものを作ること」。そこに妥協はないと言います。
「いいものを作ってさえいれば、お客さんがついてきてくれると信じているので」
プロダクトアウト型の発想で、農業そのものの仕組みを変えようとしているようでした。
食卓へ届くのは、味だけじゃない。
「農業をやりたいと思ったことは一度もないんですよ」と話す、長男の孝さん。それでも怪我で手が使えなくなったことをきっかけに家業を手伝い、「その気分のまま社長になっちゃって」と軽い調子の語り口とは裏腹に、農業への向き合い方、人を大切にする姿勢は取材の端々から感じられます。
同業者へのリスペクトを口にするのも、そのひとつ。「長谷川さんはすごい」「あの人のいちごは本当に美味しい」と、何度となく熱く話します。そこにはきっと、誰かと競うためではなく、良いものをつくりたいという純度の高い想いがあるからこそ。
それが、全国各地から「ここで働きたい」と多種多様な人が集まってくる源泉になっているような気がしました。そしてここで育まれた作物にもさまざまな想いが乗っかって、美味しさがつながっていくのだと、そんな気持ちになった一日でした。
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SHOP INFORMATION
吉田さんち
・住所:埼玉県深谷市岡2512
・TEL:048-500-9443
・Instagram(吉田さんち):@yoshida_farm_fukaya
・Instagram(吉田さんちのいちご):@yoshidasanchi_ichigo
※直売所の最新営業状況は公式Instagram等をご確認ください。
※きららカフェでは、吉田さんちの深谷ねぎ・ブロッコリーを使ったおすすめメニューをお召し上がりいただけます。
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代表:吉田 孝さん
浦和レッズのサポーターで「レッズビジネスクラブ」にも加入。毎年春のレッズ祭りに出店し、いちごや野菜を販売しているのだそう。取材中もポーズを決めながらレッズ愛を熱く語ってくれました。