葬儀の種類は何がある?種類別のメリット・デメリットや選び方を解説
葬儀は、遺族をはじめとする残された人々が、故人の死と向き合うための重要な儀式です。
しかし近年では、葬儀の種類が多様化しているため、
どのような葬儀をおこなえば良いか、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、葬儀の種類や、種類別のメリット・デメリット、
費用について詳細に解説するほか、適切な葬儀の選び方についてもご紹介します。
今後ご家族の葬儀をおこなう可能性のある方や、
早めに葬儀について考えておきたい方は、ぜひ参考になさってください。
目次
葬儀の種類
葬儀の種類は、大きく以下6種類に分けられます。
- 一般葬
- 家族葬
- 直葬
- 一日葬
- 樹木葬
- 自由葬
それぞれの特徴について、順を追って解説していきます。
一般葬
一般葬とは、生前故人と親交のあった方を幅広くお招きする、最も一般的な葬儀の種類です。
家族・親族だけでなく、ご近所の方やご友人、会社の同僚などを招き、葬儀をおこないます。
参列者の数はケースによって異なりますが、60~100人ほどが一般的です。
一般葬のおおまかな流れとしては、まず初日にお通夜をおこない、
その翌日に葬儀、告別式へと進み、最後にご遺体の火葬をおこないます。
家族葬
家族葬とは、故人の家族・親族を中心に、親しい間柄の方だけを招いておこなう小規模な葬儀です。
「家族葬」という名称から、家族に限定された葬儀というイメージを持つ方も多いですが、
家族以外の方が参列しても問題ありません。参列者の数は5~30人前後が一般的です。
お通夜から始まり、葬儀・告別式へと進み、最後に火葬をおこなうという流れは一般葬と変わりません。
ただ、参加者の数が少ない分、会場が小規模になる傾向にあります。
直葬
直葬とは、お通夜や告別式などはおこなわず、火葬のみをおこなう葬儀の種類です。
諸々の儀式を省いて直接火葬に進むことから「直葬」と呼ばれますが、
他に「火葬式」という呼び方もあります。
直葬では、故人の家族や親族、特に親しい友人のみでおこなわれることが多く、
参列者が10人程度と小規模になることが一般的です。
また、一般葬や家族葬は斎場でおこないますが、直葬はご自宅・安置施設・火葬場でおこないます。
お別れの儀式などがないため、2時間程度で葬儀が終了することが多いです。
ただし、直葬は宗教儀礼を省いた簡易的な葬儀のため、
故人に菩提寺がある場合はあらかじめ許可が必要になります。
一日葬
一日葬とは、お通夜をおこなわず、告別式から火葬までを1日で完結する葬儀の種類です。
一般的には、故人が亡くなった翌日にお通夜をおこない、
その翌日に告別式・火葬をおこなうことが多いため、一般葬や家族葬では、葬儀に2日以上かかります。
一方、一日葬ではお通夜が省かれるため、全ての過程が1日で完結します。
ただし、菩提寺がある場合は、事前に許可を得ることを忘れないようにしましょう。
樹木葬
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標にする埋葬方法の種類です。
桜やハナミズキなどのシンボルツリーが選ばれることが多いですが、
樹木ではなく草花の周辺が選ばれるケースもあります。
樹木葬は、厳密には葬儀の方法ではなく埋葬方法のため、たとえばお葬式を家族葬でおこない、
埋葬を樹木葬にするなどと、各葬儀と組み合わせて利用されることが多いです。
日本には、墓地の管理・運用を適切におこなうための「墓地埋葬法」という法律があります。
そのため、樹木葬をおこなう場所を故人や遺族の任意で決めることはできません。
基本的には、霊園が管理する敷地内に限られる点に注意しましょう。
自由葬
自由葬とは、宗教儀礼を伴わず、自由な形式で執りおこなわれる葬儀の種類です。
自由葬に決まった形式はなく、
故人の遺志や遺族の意向を反映して、様々なかたちで葬儀がおこなわれます。
例としては、読経をおこなわずに故人の好きな音楽を流す「音楽葬」、
ホテルでの会食がメインの「ホテル葬」などが挙げられます。
また、堅苦しい雰囲気にしたくないという遺志を尊重して、
ドレスコード無しでおこなわれる葬儀も自由葬の一種です。
ただし、宗教儀礼をまったくおこなわない自由葬の場合、
直葬や一日葬の場合と同様、菩提寺がある場合は事前の相談が必要な点に注意しましょう。
葬儀種類別のメリット・デメリット
今回ご紹介した6種類の葬儀には、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。
そのため、故人の遺志や遺族の意向と照らし合わせ、
メリットが大きく、デメリットが極力小さくなる葬儀の種類を選ぶことが大切です。
それでは、葬儀種類別のメリット・デメリットについて、詳細を確認していきましょう。
一般葬
<メリット>
- 関係者を幅広く招待できる
- 伝統的な葬儀ができる
一般葬では、参列者の数に応じて公営・民営の斎場や寺院で葬儀をおこなえます。
また、一般葬は今回取り上げた葬儀の中で、最も伝統的な葬儀方法です。
そのため、菩提寺とのトラブルや、伝統を重んじる参列者に苦言を呈されるリスクを回避できます。
<デメリット>
- 葬儀費用が高くなりやすい
- 葬儀の準備や参列者への対応が大変
一般葬では、たくさんの参列者を呼ぶために大きな会場を用意する必要があり、費用が高くなりやすいです。
また、一般葬ではお通夜から告別式、火葬に至るまで、2日以上にわたって色々な儀式があります。
その間、準備をしたり参列者の対応をしたりと、喪主や遺族の方にとって、負担が大きくなる点に注意しましょう。
家族葬
<メリット>
- 故人との別れの時間をゆっくり過ごせる
- 葬儀費用や準備の負担を軽減できる
家族葬では、遺族を中心に、故人と親しい間柄の方々のみが参列します。
そのため、葬儀中に気を遣うことも少なく、故人との別れの時間をゆっくり過ごせます。
また、参列人数が少ないため、
大規模な会場を用意する必要がなく、費用や肉体的負担を軽減できる点もメリットでしょう。
<デメリット>
- 参列者の選別が必要
- 参列できない方へのフォローが必要
家族葬は少人数で執りおこなうため、参列者をどこまで呼ぶか選別しなければなりません。
たとえば、故人の子どもや兄弟は呼び、従兄弟(従姉妹)は呼ばないなどの線引きが必要です。
その際、葬儀に呼ばなかった方との間でトラブルになる可能性があります。
そのため、家族葬である旨を事前に説明したり、葬儀後に訃報を送ったりなど、
適切なフォローをおこなう必要があります。
直葬
<メリット>
- 葬儀費用を大幅に抑えられる
直葬では、お通夜や告別式などをおこなわないため、
葬儀会場の費用や飲食費、返礼品費などがかからず、必要最小限の費用で葬儀をおこなえます。
<デメリット>
- 故人とのお別れの時間が短くなる
直葬は火葬場などでおこなわれるため、
簡易的な読経はあっても、十分なお別れの時間がないと感じる方も多いです。
そのため、伝統的な儀礼を重んじる参列者からは、理解が得られないこともあるため注意しましょう。
一日葬
<メリット>
- 食事など一日分の費用を抑えられる
直葬同様、お通夜をおこなわずに1日で全行程が完結するため、
お通夜にかかる食費などの費用を抑えることができます。
また、参列者のスケジュールを合わせやすい点もメリットでしょう。
<デメリット>
- 弔問の機会が少ない
お通夜がないため、親戚や知人が故人に最後の別れを告げる機会が限られます。
また、一般葬に慣れている方からすると、お通夜がないことで寂しさを感じることもあるため、
十分に説明して理解を得ておくことが重要です。
樹木葬
<メリット>
- 埋葬にかかる費用を軽減できる
- 永代供養で継承者が不要である
樹木葬では、墓石を購入する必要がないため、
一般的なお墓を建てる場合に比べて、費用を大きく軽減できます。
また、一般的なお墓が次の世代へと継承する前提である一方、
樹木葬では遺体は土に還るものと考え、継承者を必要としません。
なお、希望があればペットなどと同じお墓に入れる場合もあるため、
そのような希望を持つ方にはメリットが大きいでしょう。
<デメリット>
- 後からの遺骨の取り出しや墓所の移動が難しい
樹木葬では、遺骨を骨壺から取り出してから地中に埋葬することがあります。
その場合、月日が経つことで遺骨が土に還元されて、後から取り出すのは難しくなります。
ただ、霊園によっては骨壺ごと埋葬できる樹木葬を実施しているところもあるため、
希望する場合は事前に問い合わせてみると良いでしょう。
自由葬
<メリット>
- 故人や遺族が望む自由な形式の葬儀ができる
自由葬では、特定の宗教宗派に捉われることがないため、
省きたい儀式は省き、残したいものは残すなど、オーダーメイド感覚で葬儀の内容を決められます。
<デメリット>
- 企画や準備を自分たちで全ておこなわなければならず、時間や手間がかかる
一般葬や家族葬などの場合、ある程度葬儀のフォーマットが決まっているため、葬儀社を頼ることができます。
一方で、自由葬は良くも悪くも全てが自由なため、自分たちで1から考えなければならないのです。
葬儀種類別の費用
葬儀は、どの種類のものを選ぶかによって費用にも差が生じます。
6種類の葬儀それぞれの費用について、詳細を確認していきましょう。
一般葬
一般葬の費用は、120~160万円がボリュームゾーンとなります。
ただ、一般葬は故人の交友関係や職業などによって規模が異なり、
高いものだと200~300万円近くかかるケースもあります。
一般葬では、お通夜・葬儀・告別式と一連の儀式をおこなうため、
今回ご紹介する葬儀の種類の中では、最も費用がかかります。
また、参列者が多い分、会場での飲食費や、最後にお渡しする返礼品費などもかさみます。
家族葬
家族葬の費用は、60~100万円がボリュームゾーンですが、
人数や葬儀の規模によっては、150万円程度かかることもあります。
家族葬では、一般葬よりも参列者が少なくなる分、飲食費や返礼品費、会場費を抑えることができます。
直葬
直葬の費用は、20~45万円がボリュームゾーンであり、
一般葬や家族葬などの種類と比べて非常に安価です。
直葬では、お通夜や葬儀、告別式といった一連の儀礼を省き、火葬のみをおこないます。
そのため、儀礼にかかる費用や飲食費などがかからないため、少ない費用での実施が可能です。
一日葬
一日葬の費用は、50~90万円がボリュームゾーンです。
一日葬は、直葬と同様に簡易的な種類の葬儀ではありますが、葬儀・告別式はおこなうため、
会場費や飲食費、返礼品費などがかかり、その分費用が少し高くなります。
一日葬と家族葬の価格差はそれほど大きくないため、
1日で収めたいか、故人とゆっくりお別れしたいかなど、遺族でよく話し合って決めると良いでしょう。
樹木葬
樹木葬の費用は、その種類によって20~100万円ほどと幅があります。
まず、1つのシンボルツリーの周辺に、複数の方の遺骨を骨壺から出して埋葬する「合祀型樹木葬」の場合は、15~30万円ほどが相場です。
続いて、複数の方の遺骨を骨壺に入ったまま埋葬する「集合型樹木葬」の場合は、20~50万円が相場になります。
そして、1つのシンボルツリーごとに1人、あるいは1家族を埋葬する「個別型樹木葬」の場合は、40~100万円ほどかかります。
なお、樹木葬の費用は、あくまで遺骨を埋葬するための費用であり、
別途葬儀をおこなう場合は、その分の費用もかかる点に注意しましょう。
自由葬
自由葬の場合、どのような種類の催しをおこなうかによって費用は大きく前後しますが、
一般的には100~150万円前後がボリュームゾーンだといえるでしょう。
また、自由葬をおこなう際に必要になるのが火葬費です。
火葬費だけでも20~45万円程度かかるため、
その金額を見越したうえで自由葬の予算を立てると良いでしょう。
葬儀の種類を選ぶ際のポイント
ここまで見てきたように、ひとくくりに葬儀といっても色々な種類があり、迷ってしまう方も多いでしょう。
そこで、最後に葬儀の種類を選ぶ際のポイントを4点ご紹介します。
これから葬儀をおこなう予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
宗教で選ぶ
葬儀の種類は、故人が信仰していた宗教がある場合、それに基づいたものにすると良いでしょう。
故人の宗教の有無や種類が不明な場合は、家族や親族、通っていたお寺などに確認します。
その際、菩提寺の有無も確認しておくと、葬儀の手配などがスムーズになります。
なお、日本では仏教に基づいた葬儀が一般的ですが、それ以外に神道やキリスト教など、
宗教の種類によって葬儀のスタイルが変わってくることもあります。
故人の遺志を尊重して選ぶ
葬儀の種類は、故人の遺志を尊重して選ぶことも重要です。
たとえば、故人が家族に手間をかけさせたくないと、自ら直葬を望むケースもあります。
また、堅苦しいお別れにしたくないという思いから、
故人の趣味などを反映した自由葬を希望することもあります。
故人がどのような種類の葬儀を望んでいるかは、生前に遺族に語るほか、
遺書やエンディングノートに書き残している場合もあります。
それらが葬儀を終わらせてから見つかることのないよう、事前に確認しておくと良いでしょう。
予算で選ぶ
葬儀の種類を、予算で選ぶ方も多くいらっしゃいます。
予算にある程度余裕がある場合は、一般葬や家族葬がよく選ばれます。
一方、葬儀に使う費用の捻出が難しく、家計に負担を与えるようであれば、
直葬や一日葬など、費用が安い種類の葬儀にするのも手段の1つです。
そのため、葬儀の種類を決める際は、まず使える予算を明確にしておき、
その額で無理がないような種類を選ぶようにしましょう。
参列者の人数で選ぶ
葬儀の種類を、参列者の人数で選ぶ場合もあります。
たとえば、故人が会社を経営していたなどで、
多くの参列者が見込まれる場合は、大きな会場で一般葬をおこなうと良いでしょう。
一方、参列者が少ない場合、会場が大きいと寂しい印象を与えてしまうため、
小さな会場での家族葬などを選ばれる方が多いです。
まとめ
今回は、葬儀の種類ごとの特徴やメリット・デメリット、かかる費用、選ぶ際のポイントなどについて詳しく解説してきました。
一般葬や家族葬など葬儀には色々な種類がありますが、
それぞれ特徴が異なるため、故人の遺志や遺族の方の状況などを踏まえ、適切なものを選択することが大切です。
今回ご紹介した内容を参考に、悔いの残らないかたちで葬儀をおこないましょう。